IEBPTPCHは、MVS(z/OS)における、順次データセットまたは区分データセットのメンバー内容のプリントを行うユーティリティー・プログラムです。MSPではJSDPTPCH、VOS3ではJSDPRNTとして提供されています。プログラム名は異なるものの、JCLもSYSIN制御ステートメントも含め、基本的に互換ユーティリティーです。
IEBPTPCHは、GENERやCOPY同様に初期のMVSから提供されている基本的(古典的)なユーティリティーの1つです。順次データセットや区分データセットのメンバー内容を、そのまま印刷するだけでなく、見出し行を付けたり、パック10進数を見やすく変換したり、といった簡単な編集機能も持っています。
基本的な利用法については、こちら「データセット(メンバー)を編集して印刷する 」にサンプルJCLを掲載してあります。
初期のMVSでは、データセットやメンバーの内容は、実際のプリンター装置から紙に印刷リストとして打ち出すことが普通でした。JCL上に定義したSYSOUTは、実際に紙に打ち出されていました。今のように気軽にISPFやSDSFなどを使うようなシステムではなかったのです。しかし、現在ではISPFなどを使いディスプレイ端末上で内容を確認することが多く、データセットやメンバーの内容を紙に打ち出すようなことは少なくなりました。プリントする場合でも、JCLやソース・プログラムなどの場合、バッチ・ユーティリティーではなく、ISPFのPRINT機能を使うこともできます。また、プリント・データもSYSOUTへの書き出しではなく、VTAMやTCPで接続されたPCプリンターなどに直接送ることのできるソフトウェアを導入しているユーザーもいます。例えば、IBMのKDSP(漢字端末印刷プログラム)などです。
また、バッチ・ユーティリティーであっても、編集せずにそのまま用紙に打ち出すだけなら、GENERユーティリティーを利用することもできます。この場合は、データセットをSYSOUTへコピーする、ということになります。その他、AMSユーティリティーのPRINTやREPROコマンドでもプリントすることができます。