TSOコマンド

TSOコマンド

TSOでは、バッチ処理用に作成されたプログラムを呼び出して実行することも可能です。JCL内ストリームからの入力やSYSOUTへの出力は端末画面にリダイレクトできるので、プログラムを直さなくてもある程度のものはそのまま動かすこともできます。しかし、TSOのプログラムでは、端末の入出力や割込みキーのハンドリング、コマンド・ラインからのパラメーターの受け取りなど、それなりに端末操作を意識したものである必要があります。これらの機能が実装され端末オペレーターと会話するような処理を行うように作られたプログラムを「コマンド・プロセッサー」と呼びます。コマンド・プロセッサーのうち、メーカーによってあらかじめ用意されているTSO専用のプログラムが「TSOコマンド」です。

MVSによって用意されている標準のTSOコマンドは約40種類ほどありますが、それらの多くがプログラム開発やデータセットの操作に関するものです。しかし、プログラム開発やデータセットの操作に関しては、現在ではISPFによって行われることが当たり前になっておりコマンド・ラインでTSOコマンドを入力して行うことはほとんどありません。
そのため、今ではTSOコマンドなど全く使わなくても用事を済ますことができるようにもなっており、センターによってはTSOにログオンするとコマンド・プロンプトを表示することなくISPFを起動し、ISPF終了後は自動的にログオフするようなカスタマイズによって一般のユーザーにはコマンド・プロンプトを見せないような運用をしているところもあります。

しかし、TSOコマンドを使う必要はまったくなくなったわけではなく、RACFやDFSMSなどOS回りのさまざまなコンポーネントなどを操作する機能もISPFダイアログだけでなくTSOコマンドとして提供されたりもしており、状況に応じて使い分けたりします。また、TSOコマンドはCLISTと組み合わせたり、バッチ・ジョブとして実行させることで、同じ操作を繰り返したり作業の効率を上げることも可能になります。むしろ現在では、TSOコマンドは単独で使うよりは、CLISTなどと組み合わせて使用するのがほとんどでしょう。
例えば、ISPFを起動するためのCLISTでもTSOコマンドは使われています。ISPFもそうですが、TSOで動かすソフトウェアは、起動に必要なデータセットなどをCLIST内で割り当てることが多く、その際に使用されるのがALLOCATEおよびFREEコマンドです。これはJCLのDDステートメントに相当するもので、最低限この2つのコマンドだけは知っておくべきでしょう。
TSOやTSOコマンド概要はこちら(z/OSのしくみ:基礎編:TSOとISPF)のページに解説があります。