SDSF

SDSF(System Display and Search Facility:システム表示/検索機能)は、MVSとJES2をモニターし、管理し、制御するための情報を提供するz/OSのオプショナル・プロダクトです。位置付けはオプションですが、ほとんどのユーザーで導入され使用されています。製品の主な機能には次のようなものがあります。

  • 活動中のシステム・アドレス空間や実行中のジョブの状態を一覧表示する
  • 終了したあるいは実行中のジョブのSYSOUT一覧や各SYSOUTの内容を表示する
  • ジョブの各種処理(ホールド、リリース、キャンセル、パージなど)を行う
  • イニシエーターの停止や起動、クラスの変更を行う
  • プリンターの停止や起動、クラスやフォームの変更を行う
  • NJEノードや回線の制御
  • SYSLOGやOPERLOGの表示、MVSコマンドなどの投入
  • 未応答リプライメッセージの表示とメッセージへの応答
  • JES2ジョブクラスの一覧表示とそのクラス属性の変更
  • Unixシステムサービスのアクティブ・プロセスの表示

多くのシステム状態の表示や操作の機能がありますが、全体に影響するような操作機能についてはアドミニストレーター権限やオペレーター権限のないユーザーでは実行できずメニューパネルにも表示されません。一般のユーザーの場合、自分がサブミットしたジョブの状態表示やキャンセル、SYSOUT内容の表示やパージなどに限られ、他の人のジョブの中身を見たり、SYSLOGの表示などは認められません。

ISPFメニュー・パネルに組み込まれて画面分割などでISPFと切り替えながら操作することもできるので、ISPFの機能の一部と思われることもありますが、SDSFはISPFとは別のプロダクトです。ISPFにもジョブのSYSOUT表示を行う「OUTLIST UTILITY(オプション3.8 )」がありますが、標準ではジョブ名が自分のユーザーIDで始まっていなければならない、SYSOUTクラスがホールドクラスでなければならない、終了したジョブでないと表示できない、などの制約もあり今ではほとんど使われていないようです。

ISPFのPDFがボリューム上のデータセットやメンバーに対する各種の操作を提供するデータセット管理やプログラム開発ツールであるのに対して、SDSFはシステムそのものの各種資源を操作するための対話型ツールとなります。SDSFが提供される前はこれらはMVSコマンドやJES2コマンドによってコンソールから操作するのが普通でした。また、ジョブのSYSOUTはISPFのOUTLISTユーティリティーでの表示かXWTRでデータセットへ書き出すかプリンターから印刷することでその中身を表示していました。そのため、ジョブのSYSOUTを自由に表示できるようなOUTLISTユーティリティーより機能が豊富で使い勝手のよいISV製品なども多くのユーザーでも使われていましたが、SDSFが提供されその機能が拡張・強化されるにつれてISV製品の優位性は薄れてしまいました。

ISPF配下でSDSFを使っているなら、自分なりにカスタマイズした内容はプロファイルに書き出されるので、一度設定すれば以降は自分好みのパネルで操作することもできます。例えば、ジョブの状態を表示し必要ならSYSOUT内容を表示したりするためのオールマイティなパネルの1つであるSTパネルがあります。横方向に各ジョブの属性や状態を示すフィールドがありますが、このフィールドの並び順を変更することができます。コマンド欄に「 ARRANGE MAX-RC A JOBID 」と入力すれば、ジョブの完了コードをジョブIDの直後に表示させることができ、完了コードを確認するためにパネルを横スクロールさせる必要はなくなります。また、ジョブの表示順も最新のジョブが上に表示された方が見やすい、という場合は、コマンド欄に「 SORT JOBID D 」と入力すれば、ジョブ番号の大きいもの(後から実行されたもの)が先頭に表示されるようになります。

フィールドの並び順を変える


SDSF STATUS DISPLAY ALL CLASSES LINE 1-2 (2)
COMMAND INPUT ===> ARRANGE MAX-RC A JOBID SCROLL ===> CSR
NP JOBNAME JobID Owner Prty Queue C Pos SAff ASys Status
KAB34997 JOB00024 A0001 1 PRINT 7
RKK8763J JOB00033 B0002 1 PRINT 4

ジョブの表示順を変える


SDSF STATUS DISPLAY ALL CLASSES LINE 1-2 (2)
COMMAND INPUT ===> SORT JOBID D SCROLL ===> CSR
NP JOBNAME JobID Max-RC Owner Prty Queue C Pos SAff ASys
KAB34997 JOB00024 CC 0008 A0001 1 PRINT 7
RKK8763J JOB00033 CC 0000 B0002 1 PRINT 4

新しいフィールドの並び順とジョブの表示順


SDSF STATUS DISPLAY ALL CLASSES LINE 1-2 (2)
COMMAND INPUT ===> SCROLL ===> CSR
NP JOBNAME JobID Max-RC Owner Prty Queue C Pos SAff ASys
RKK8763J JOB00033 CC 0000 B0002 1 PRINT 4
KAB34997 JOB00024 CC 0008 A0001 1 PRINT 7

SDSFも毎日のオペレーションで使うツールであれば、こういうものかと思わずに自分なりに少しでも使いやすくなるよう工夫するのもいいでしょう。
関連するマニュアルには「SDSF ガイドおよび解説書(SC88-6224)」「システム表示/検索機能(SDSF)オペレーションおよびカスタマイズ(SA88-8610)」などがあります。また英文ですが、米国IBMのサイト「The System Display and Search Facility (SDSF) displays system information.」にはSDSFの最新情報や使い方のTipsなどが記載されたWebページがあります。