Master The MainframeはIBM Z Xploreにリニューアル

10数年に渡り、毎年開催されてきた米国IBMが主催する学生向けのコンテスト「Master The Mainframe」は、今年の9月に「IBM Z Xplore」としてリニューアルされました。IBM Z Xploreは、学生向けコンテスト色が強かったMaster The Mainframeに対して、学生のみならず多くの一般社会人も含めたIBM Zのエンタープライズ・コンピューティング・スキルの習得に関心のある全ての人向けに変わりました。これまでもMTM用のラーニング・システムは学生以外でも利用が可能でしたが、全ての人が利用できることシステムであることが前面に出ています(同じシステムを利用しての学生向けコンテストは「IBM Z Student Contest」として2021年10月中旬から並行して開催されます)

「IBM Z Xplore」に参加してラーニング・システム(z/OS)を利用するには、US IBMの「IBM Z Xplore」のWebサイト(https://www.ibm.com/it-infrastructure/z/education/zxplore:2021年9月現在)もしくは日本IBMの「IBM Z Xplore」のWebサイト(https://www.ibm.com/jp-ja/z/resources/zxplore:2023年4月現在)から進みます。webサイト内に示された「Get started(使ってみる)」がXploreのログインとWelcomeメッセージへのリンクです。

ラーニング・システムではMicrosoftのVSCodeとZowee Explorerを使用してz/OSにアクセスします。以前のMaster The Mainframeのラーニング・システムに登録して既にVSCodeを使用している人は、そのVSCodeに新しいIBM Z Xplore用のラーニング・システムのプロファイルを追加すればアクセスできます。
新しいIBM Z XploreのWebシステムにログインすると、最初にあなたは学生か?とか学校や会社はどこか?という質問を聞いてきますが、どちらもnoneと選択するか入力すればいいです(本当に学生でなければ)。その他のメールアドレスや国名については素直に入力、選択します。質問に答えて進めれば、IBM Z Xploreのあなた用のホーム画面に進みます。FUNDAMENTALSの最初の課題であるVSC1を表示すれば、そこにあなたに割り当てられたユーザーIDとパスワードが表示されています。VSC1 Challengeと記されたpdfを参照すれば、VSCode等のツールのインストール方法や接続するz/OSシステムのIPアドレスとポート番号がわかります。後は、pdf内容に従って作業を進めます。VSC1、Files、JCL1と順番に課題を進めて行きます。

TN3270については、新しいIBM Z Xploreの中では解説されていませんでしたが(記事投稿時点)、623番ポートでTN3270はオープン(Listen)されています。ただし、昨年までのMaster The Mainframeのラーニング・システムと違って課題外の操作はかなり制限されるようになっているようです。課題以外のデータセット作成も可能ですが容量は厳しく制限されます。2番目の課題であるFilesを行えば、userid..JCL、userid..SOURCE、userid..LOADといったデータセットが作成されるので、COBOLやPL/Iなどの基本的なプログラミングやISPFやSDSFの使い方を学習する程度であればさほど不便ではないと思います…
(※TSOにログオンするにはAdvanced Challenge迄課題を進めて、その中のRedquest 3270 access to TSO/ISPFを完了させる必要があります。当初のXploreではアカウント発行後にすぐにTSOログオンも可能でしたが、現在はVSCodeでFundamentalsの課題を全てクリアーしてからでないとTSOログオン出来なくなっているようです)

今後のz/OSでは、従来のTSOベースのISPF+SDSFに加えて(代わり?)VSCode+Zowe Explorerのようなオープン系同様のUIによるエクスプローラー操作も行われるようになって行くのでしょうが、日本国内では業務でz/OSを使うということであればまだまだISPFやSDSFが主流でしょう。しかし、これから新たにz/OSシステムに携わる20代や30代の若い人達に取っては、業務ではTSO(ISPFやSDSF)を使うことになっていてもその傍らでエクスプローラー操作による使い方にも慣れておくといいでしょう。職場のシステムにZoweやz/OSMF等がセットアップされていて、いつでも利用できるというのでなければ、IBM Z Xploreのラーニング・システムはz/OSの新しい使い方を習得するための有用な手段の1つです。

以前のMaster The Mainframeと異なり、1年単位のラーニング・システムではなく継続して利用できるようになっています。2021年9月に登録したz/OSアカウントは2023年になっても有効でz/OSへの接続用IPアドレスも変更されていませんでした(パスワードは一定期間毎に変更を求められます)

2023年4月時点では、Xploreシステムのプロセッサーは最新のz16に変更されています。CP数は5個、リアルストレージは16GB、z/OSはV2R4です。登録されたユーザー数はここ1年半で約32,000まで増えていて、世界中から多くの人がXploreシステムによってz/OSを実機操作して学習されています。