今日のIBMのメインフレームで使われているディスク装置は3390ディスク装置です(一部に互換目的などで3380ディスク装置が使われているかも知れないが…)。どちらのタイプのディスク装置にせよ、物理的な3390あるいは3380ディスクとしてのハードウェアが未だに使われていることはなく、DS8000シリーズなどのストレージ・サブシステム内で論理的に定義されたものです。
MSPとVOS3でも、ソフトウェアから見たディスク装置の特性には互換があります。一昔前のIBM3380ディスクに対しては、富士通ではF6425ディスク、日立ではH8598ディスク(あるいはH6586)が対応し、IBM3390ディスクに対しては、日立ではH6588(H6587)ディスクが対応します。富士通には3390互換のディスク装置はありませんでした。そのため、一部のISV製品などではインストール先デバイスが3380ディスクに最適化されるようにデータセット容量やブロックサイズなどが設定されるものもありました。
富士通、日立もIBMと同じく、今日では物理的なハードウェアとしてのF6425ディスクやH6588ディスク装置が使われるわけではなく、例えば富士通ならETERNUSディスクアレイ・システム上でのエミュレーション・デバイスとなります。
運用面から見ればデバイスの速度や容量(シリンダー数)などに関しての互換性がどうなのかということもありますが、プログラミングの面ではそれらはほとんど考える必要はないです。トラックの容量に関しては重要な互換要素でありますが、ディスク容量(シリンダーの数)は気にするものではないです。
トラック長 | ユーザー・データ長 | UCBタイプコード | 富士通互換モデル | 日立互換モデル | |
IBM 3380 | 47,968byte | 47,476byte | x0E | F6425 | H8598,H6586 |
IBM 3390 | 58,786byte | 56,664byte | x0F※ | —– | H6588,H6587 |
※日立の6587ディスクのUCBタイプコードはx26となりIBM3390とは異なる。そのため、3390ディスクであることをUCBのタイプコードから判定するプログラムはVOS3用に修正する必要がある。その他についてはトラック長や利用可能なユーザーデータ長などは3メーカーとも互換なので、ディスクの装置名を表示することなどを除けばMVS用プログラムをそのまま使うことも可能である。ただし、近年サポートされているEAV(拡張アドレスボリューム)などの大容量ボリュームのディスク・アクセスに関しての互換はない。また、VTOCの形式なども非互換がある。
富士通、日立の両社がIBMの完全互換ディスクとして追随していたのは3380ディスクまでで、3390ディスク以降は富士通は互換製品を出していない。日立では3390-9型までは互換ディスクとして提供されていた。いずれにしても、トラック長やシリンダーあたりのトラック数などには互換があるため、ハードウェア面での非互換を意識することはほとんど必要ない。非互換が大きいのは、UCBの参照方法やVTOCフォーマットなど、OS側のソフトウェア仕様に関してである。